大吉は凶に還る
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![]() ![]() 翌る日が来ても27 Dec 13 - 10:34 翌る日が来ても、瑠璃子の容子は前日と少しも変らなかつた。美奈子には、時々優しい言葉をかけたけれども、青年には一言も言はなかつた。青年の顔に、絶望の色が、段々濃くなつて行つた。彼の眼は、恨めしげに光り初めた。 到頭、夜が来た。瑠璃子と青年との間に、交された約束の夜が来た。 美奈子は、夜が近づくに従つて、青年が自分の存在を、どんなに呪つてゐるかも知れないと思ふと部屋にゐることが、何うにも苦痛になつて来た。 晩餐の食堂から、帰るときに、美奈子は、そつと母達から離れて、自分一人ホテルの図書室へでも行かうと思つた。さうすれば、青年は彼の希望通り、母とたつた二人限りで、散歩に行くことが出来るだらう。母も、自分に何の気兼なしに青年とたつた二人、散歩に出ることが出来るだらう。 美奈子は、さう思ひながら、そつと母達から離れる機会を待つてゐた。が、母は故意にやつてゐると思はれるほど、美奈子から眼を離さなかつた。美奈子は、仕方なしに、一緒に部屋へ帰つて来た。 部屋に帰つてから、暫くの間、瑠璃子は黙つてゐた。五分十分経つに連れて、青年がぢりぢりし初めたことが、美奈子の眼にも、ハツキリと判つた。而も、青年がいら/\してゐることが、自分がゐるためであると思ふと、美奈子は何うにも、辛抱が出来なかつた。自分が、青年の大事な大事な機会の邪魔をしてゐると思ふと、美奈子は何うにも、辛抱が出来なかつた。 「妾、お母様、図書室へ行つて来ますわ。一寸本が読みたくなりましたから。」 美奈子は、さう云つて、母の返事をも待たず、つか/\と部屋を出ようとした。 母は、駭いたやうに呼び止めた。 「図書室へ行くのなんかおよしなさいね。昨夕は出なかつたから、今日は散歩に出ようぢやありませんか。」 美奈子は、一寸駭いて足を止めた。ふと気が付くと、青年の顔は烈しい怒りのために、黒くなつてゐた。 変額保険安い |
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